米国半導体セクター:注目銘柄と受注動向の読み方|ファウンドリ稼働率・DRAMサイクル・EUV露光装置動向を解説
投資家向けに、受注指標とサプライチェーンの「先行シグナル」から個別銘柄の強弱を見抜く実践ガイドです。
ファウンドリ稼働率やEUV露光装置発注、DRAM価格サイクルなど投資に直結するKPIを優先して解説します。
要点サマリー(投資家がまず押さえるべき3点)
半導体セクター投資では、①受注残(backlog)とファブ稼働率の推移、②メモリ(DRAM/NAND)価格サイクル、③製造装置(EUVや成膜装置)のCAPEX発注が最重要です。これらは売上とマージンの先行指標になります。
受注動向の読み方 — 5つのチェックポイント
1) ファウンドリ稼働率とウェハ出荷量(Wafer Shipments)
ファウンドリ稼働率が上昇する局面は、ウエハ需要の増加が進行している証拠です。
TSMCやSamsungのファウンドリ稼働率、あるいは受注残の伸びを確認すると、ファブレス企業の売上加速が見えてきます。
2) 受注残(backlog)と出荷スケジュール
受注残の拡大は直近の売上見通しを強化します。
特に装置メーカーは受注残が高ければ数四半期後の収益が確保されるため、装置セクターの業績予測に使いやすい指標です。
3) 製造装置の発注動向(EUV露光装置、成膜、エッチング)
ASMLのEUV露光装置やApplied Materials、Lam Researchの受注推移は、先行CAPEXのバロメーターです。
装置発注が戻れば数四半期先にウェハ受注→製品出荷へ連鎖します。
4) メモリ価格(DRAM/NAND)のサイクル
DRAM価格は需給で大きく振れるため、サイクルの山谷を掴むことが重要です。
DRAM価格の反転は、MicronやSK Hynixの利益率改善につながります。
5) 在庫/売上比率とOEMの在庫調整
半導体サプライチェーンではOEM側の在庫調整が利益に直結します。
過剰在庫が解消される局面では受注回復が急速に進みます。
注目の米国半導体銘柄(ティッカー付き)と投資ポイント
以下は投資家に頻出の注目銘柄と、それぞれの受注サイクルの感応度を含めた短評です。
| 銘柄 | ティッカー | セグメント | 注目ポイント |
|---|---|---|---|
| NVIDIA | NVDA | GPU / AIアクセラレーション | データセンター需要とAI向けGPUの受注が業績を牽引。ファウンドリ稼働率に敏感。 |
| AMD | AMD | CPU/GPU(ファブレス) | Zen系CPUとデータセンターGPUの受注で成長。ファウンドリの供給制限はリスク。 |
| Intel | INTC | IDM(設計+製造) | IDMモデルでCAPEXが業績に直結。自社ファブの稼働率とプロセスロードマップ(2nm等)を注視。 |
| Applied Materials | AMAT | 半導体製造装置 | 成膜/エッチングの受注動向が受注残として表れる。CAPEXサイクルの先行指標。 |
| Micron | MU | メモリ(DRAM/NAND) | DRAM価格サイクルと在庫調整の影響を強く受ける。メモリ景況感で業績変動が大きい。 |
| Broadcom | AVGO | 半導体/インフラ | インフラ向け需要とソフトウェア収益のミックス。受注は比較的安定。 |
| Texas Instruments | TXN | アナログ半導体 | 自動車/産業向け比率が高く、在庫循環の観察が重要。 |
| Marvell | MRVL | ネットワーク/データセンター用IP | データセンター関連受注が伸びれば高成長が期待できる。 |
受注データで見る短期~中期の投資戦略
受注動向を用いた実践戦略を短期(四半期)と中期(1~2年)に分けて説明します。
短期(四半期)
四半期ごとの受注残と在庫指標で決算のサプライズを探します。
装置メーカーの受注残、ファウンドリの稼働率、OEMの出荷予想が改善していれば株価の短期上振れ期待があるため、オプション戦略や短期買いを検討します。
中期(1~2年)
CAPEXサイクルとプロセス移行(例:2nmや3Dスタッキング)のロードマップに着目します。
装置発注→ウェハ出荷→パッケージングという波を捉えられれば、中期での高リターンが狙えます。
実践的スクリーニングテンプレート(投資判断に使えるKPI)
- ファウンドリ稼働率(YoY、QoQ)
- 装置メーカーの受注残(backlog)推移
- 在庫/売上比率のトレンド(顧客側の在庫調整を見る)
- DRAM/NAND価格動向(スポット価格の推移)
- 企業別のCAPEX予定と設備投資発表
- 売上構成(ファブ/ファウンドリ比、OEM比率)
テクニカルとファンダの合わせ技 — 具体的な売買シグナル
受注残が拡大している一方で、テクニカルで出来高とRSIが改善している銘柄は強い購入シグナルです。
逆に受注が減少しているのに株価だけ先行上昇している場合は調整リスクが高いです。
実務で使う「ニッチKPI」一覧(検索需要が高いキーワードを自然に網羅)
以下は専門的だが実務で有用な指標群です。
これらは情報取得がやや難しいため、網羅する記事は検索で評価されやすい指標です。
- ウェハ稼働率(fab utilization rate)
- EUV露光装置の受注件数と納期(ASML関連)
- パッケージング(3D stacking、OSAT動向)
- CMP(化学機械研磨)プロセスの装置発注
- ファウンドリのノード別受注(5nm、3nm、2nm)
投資リスクと回避戦略
半導体は景気敏感であるため、CAPEXの減速、過剰在庫、地政学リスク(輸出規制など)が主なリスクです。
回避戦略としては、分散(装置・メモリ・ファブレスのミックス)、ヘッジ(オプション)、そして四半期ごとの受注チェックをルール化します。
関連記事(当ブログ内の参考記事)
以下は当ブログの関連実在記事で、受注動向・CAPEX・半導体分析に直結するコンテンツです。
詳しいデータやチャートはリンク先を参照してください。
まとめ(投資家への最終チェックリスト)
- ファウンドリ稼働率と装置受注残を月次/四半期で追う。
- DRAM/NAND価格サイクルの変化を監視してメモリ銘柄のポジションを調整する。
- 装置メーカーの受注残が拡大しているかで中期の景況感を判断する。
- 在庫/売上比率が正常化する局面で積極的に仕込む。
- IDMとファブレス、装置のバランスで分散投資する。
本稿は投資判断の補助を目的としています。
最終的な売買はご自身のリスク許容度と投資方針に従って行ってください。
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